小倉城 ベルリン ダーウィン 石垣島 ワシントンDC ソウル 神威岬
私こと昨年十二月一日付で中西準子博士の後任として横浜国立大学大学院教授に転任しました。東京大学海洋研究所在任中は格別のご高配を賜りましたことをお礼申し上げます。今後は生態学だけでなく、環境リスクに係わる研究を続けていく所存です。今年も宜しくご指導のほど、お願い申し上げます。
昨年3月の生態学会大会で、永らく鷲谷いづみさんが編集されていた「保全生態学研究」を生態学会の第二和文誌とすることが認められ、超多忙の鷲谷さんに代わり、私が編集委員長を拝命しました。4月に引き継いだときは原稿がほとんどない状態でしたが、多くの方々に投稿いただき、8月号と12月号を無事出すことができました。新たに女性編集委員を5名追加し、1/3を女性が占める「男女均等」委員会とすることができました。http://wwwsoc.nii.ac.jp/esj/J_CbnJJCE/JJCE.html
国際捕鯨委員会科学委員会に出席のためベルリンに参りました。会議は相変わらず不毛でしたが、壁がなくなった後のベルリンは新鮮でした。捕鯨推進議連の圧力で脱退の気配を見せたものの、首相の一言で頓挫しました。昨年のイヌイット捕鯨に反対して撤回したのに続き、日本の外交がいかに不徹底かがよくわかりました。北朝鮮の拉致家族問題もイラク戦争も同じだとすれば、悔しいだけではすまないでしょう。
毎日エコノミストと北海道新聞に、それぞれアクセルロッド著「複雑系組織論」とレヴィン著「持続不可能性」の書評を書きました。知らず知らずのうちに世間は私を複雑適応系の専門家とみなしていたようです。
昨年から石垣島の石西礁湖生態系保全とアムール・オホーツク生物生産のプロジェクトを始め、今年からは屋久島生態系管理、知床世界遺産、北方領土農業生態系のプロジェクトに参画するかもしれません。近年増えている北海道日本海側のトド漁業被害を考えるシンポジウムに参加し、神威岬付近の漁業者の話を聞く機会を得ました。
3年前に松宮教授が急逝された後の教授人事で海洋研の皆さんに評価して頂けなかったことは,たいへん残念です.私は2003年11月までに56編の英文原著論文を出しました.数だけが評価対象ではありませんが,他の新たに教授になられた何人かのかたがたよりも研究成果を上げていると思います*.私に対しては,陸上の研究をしていることなどの批判も寄せられていたようですが,海の研究も十分していたつもりです.基礎も応用も手がけることは時代の要請であり、海で生まれた理論を陸上に生かすことは、海洋研究の意義を広めるために必要なことだと今でも思っています。
*私の業績は http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/gyoseki.html 参照
来春バンクーバーで開かれる世界水産学会議ではサブセッションリーダを拝命し、古典的MSY理論を超えた生態系管理理論を披露する機会を得ました。http://risk.kan.ynu.ac.jp/matsuda/2004/040504.html
今後ともよろしくご指導のほど,お願い申し上げます.略儀ながら、電子メールにて失礼します。
二〇〇四年元旦 松田 裕之