科学研究費補助金「予防原則の適用基準とその科学的基礎に関する学際研究」(基盤研究C企画調査16631004) 共催
更新 ポスター(PowerPoint,pdf:落手して掲示していただければ幸いです) 講演要旨集(工事中)
日 時:11月4日(木) (午前10時−午後5時)
場 所:東京大学海洋研究所 講堂 (交通案内)
コンビナー:松石隆(北大水産)・松田裕之(横国大環境情報)
入場無料
(*印は演題未定)
司会:勝川俊雄 10:00-12:00
・趣旨説明:予防原則は必要か? 松田裕之(横国大環境情報)
・ワシントン条約附属書掲載基準と予防原則
金子与止男(自然資源保全協会)
・アフリカゾウの保全と予防原則 石井信夫(東京女子大)
・持続的利用のための責任ある漁業・流通・消費
伊澤あらた(WWFジャパン)
司会:白木原国雄・松田裕之 13:30-15:40
・鯨類の持続的利用と予防原則 森下丈二(水産庁)
・社会的リンク論から見た沿岸捕鯨と予防原則
鬼頭秀一(恵泉女子大)
・国際法から見た捕鯨と予防原則 飯野靖夫(日鯨研)
・外交科学とIWC 大久保彩子(科学技術文明研究所)
司会:松石隆(北大水産) 16:00-17:00
趣旨説明 (松田裕之) 予防原則(precautionary principle)は1992年のリオデジャネイロ宣言第15原則などにおいて国際的に合意され,それと相前後して生物多様性条約,気候変動枠組み条約などのさまざまな分野の国際条約や合意文書に採用されている.予防原則は古典的な科学の基本姿勢とは異なり,「環境に対して深刻あるいは不可逆的な影響を与える恐れのある問題については,科学的証拠が不十分でも」対策を立てることとされており,実証される前に科学者が社会に対してどの程度の科学的根拠で何をどのように提言していくかという,新たな課題を突きつけられている.さらに,予防原則自身多義的で,明確な定義がなされていない.特に,米露先住民に対する生存捕鯨が国際捕鯨委員会(IWC)において認められる一方で,日本の伝統的な沿岸捕鯨,200海里内の商業捕鯨,南氷洋捕鯨のいずれも,対象鯨類の資源状態が絶滅リスクがほとんどないとされているにもかかわらず,認められていない状況が続いている.また,責任ある漁業を実施するうえでも,水産物の認証制度などをめぐって予防原則の適用が論点となる.さらに,ワシントン条約(CITES)の附属書掲載基準の改訂作業においても,予防原則の扱いが現在論議を呼んでいる. このような現状から,持続的利用ならびに管理捕鯨をめぐるさまざまな立場の有識者を一堂に会し,予防原則と持続的利用の関係について議論する.
問合せ先 松田裕之(横浜国立大学環境情報研究院)