MNM研究室 環境生態学セミナー

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担当教員 松田裕之 COEフェロー 牧野光琢

内容

  1. 輪読  Akcakaya, Ginzburg & Burgman「コンピュータで学ぶ応用個体群生態学―希少生物の保全をめざして」(文一総合出版楠田紺野小野山訳)
  2. 研究紹介

日時 原則として隔週金曜日4・5時限目(1440-1750) 詳細は末尾予定表

 後期以降の予定は未定です.

場所 横浜国大環境情報3号棟101室 (来学方法はこちら

参加希望者は事前に松田裕之matsudaynu.ac.jp まで連絡ください.


予定表

時間 内容 担当者 備考
4/23 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 研究紹介(山川卓氏) 1章
5/21 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman  2,3章
6/4 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 研究紹介(島田泰夫氏) 4章
6/18 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 5章
7/2 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 研究紹介(堀野眞一氏) 6章
7/16 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 7章
9/10 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 8章
9/17 1440- 輪読Akcakaya, Ginzburg & Burgman 研究紹介(中村有氏) 8章
10/8 1440- 文献紹介 Hakoyama et al. (2000) J. theor. Biol. 204: 327-336
10/29 1440- 文献紹介 Hakoyama & Iwasa (2000)J.Theor.Biol.
204:337-359.特別講演(箱山洋氏)
11/19 1440- 石名坂豪氏の学位論文第6章「トド千島系個体群の個体群存続可能性分析」
12/17 1440- 佐々木茂樹 Habitat Suitability Indexについて(ほか)
1/14 1440- 大田碧海 放鳥調査のデータ解析について
島田泰夫 風発の環境影響評価について
1/28 1440- 岩崎雄一 
松田裕之 Maximal yields from multi-species fisheries systems
2/23 1440- 藤田卓(自然研) 植物レッドデータブックの見直しについて
牧野光琢 実物オプション分析について

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資料


研究紹介のおしらせ

4月23日(金)1615−1745 (予定)

山川卓先生(東京大学農学生命科学研究科)

「漁獲圧力と不合理漁獲の軽減のための競争原理導入型プール制漁業」

場所:横浜国大環境情報3号棟101室

要旨:
【目的】漁業者組織内で一定のルールに基づいて収益配分を行うプール制漁業の配分ルールを工夫することで,短期的視点からの競争的漁獲に委ねても長期的な資源利用や経済上の望ましい状態に均衡点が落ち着くような漁業管理の枠組みを提示し,導入によって予想される漁業者の行動変化を理論的に考察する。
【方法】各漁業者の年間平均CPUEや漁獲物のkg単価,水揚金額,年間経費,消費燃油量等の関数に基づく競争原理導入型の収益配分ルールを定める。過度の漁獲努力の投入や小型魚の漁獲などの不合理漁獲を行うと相対的に配分が低下し,抑制的で合理的,効率的な漁獲を行うと配分が高まるようにする。各漁業者の戦略的行動の均衡解をゲーム理論で求め,考察した。
【結果】各漁業者が少しでも高い配分を得ようとする結果,不合理漁獲が競争的に回避される。短期的利益を追求する場合,協力ゲームよりも非協力ゲームの方が抑制的な漁獲に落ち着く。配分ルールの係数の値によって,均衡点を調節できる。多魚種資源の「スイッチング漁獲」にも利用可能である。税と補助金を組み合わせた所得再配分によって公的に政策誘導することと理論的に類似するが,漁業者組織内で配分を完結させる点が異なる。収益の均等配分を基本とする従来型プール制のように管理内容の細部にわたって合意形成がなされる必要はなく,導入時のハードルが比較的低い。競争原理に基づく技術革新も行われる。導入時には各漁業者の水揚金額に単純に比例した中立的な配分ルールを設定し,その後,係数を調節して不合理漁獲を回避するルールに段階的に移行させていくことも可能である。

来朝歓迎します