第37回北洋研究シンポジウム

知床世界自然遺産:氷縁生態系の保護管理と持続的漁業

共催:北大水産科学研究科・水産海洋学会
コンビーナー:桜井泰憲・帰山雅秀(北大院水)・松田裕之(横浜国大)

時期:18年3月6日(月) 9:30−17:30
場所:北海道大学水産学部・講義棟・大講義室 (函館市港町3-1-1) 会場案内

プログラム
挨拶:渡邊良郎(水産海洋学会会長)9:30-9:40
趣旨説明(背景を含めて):桜井泰憲 9:40-10:00
1.海洋環境と生態系の特徴    座長:桜井泰憲
(1)知床世界自然遺産:登録の経緯と残された課題 星野一昭・吉中厚裕(環境省・釧路)10:00-10:30
(2)オホーツク海:特に沿岸の海洋環境 三宅秀男(北大院水) 10:30-11:00
休憩(11:00-11:15)
(3)オホーツク海生態系のモデリング 岸 道郎(北大院水)11:15-11:45
2.水産資源の持続的利用  座長:佐野満廣(稚内水試)
(4)知床半島周辺海域の漁業と水産資源(陸棚) 石田良太郎・鳥澤 雅(釧路水試)・志田 修(函館水試室蘭支場)11:45-12:15
昼食(12:15-13:15)
(5)知床半島周辺海域の漁業と水産資源(沿岸) 西内修一(網走水試)13:15-13:45
(6)サケ・マス資源と沿岸環境 永田光博(道ふ化場)13:45-14:15
3.氷縁生態系の保護管理    座長:山中正美(知床財団)
(7) 陸域―海域生態系の相互作用:サケ類を例として 帰山雅秀(北大院水)14:15-14:45
休憩(14:45-15:00)
(8)高次動物の保護管理:アザラシ類 小林万里(北の海動物センター)15:00-15:30
(9)北海道周辺海域のトド:漁業との軋轢と管理の現状   山村織生(北水研)15:30-16:00
4.生態系の保護管理と漁業との共存  座長:帰山雅秀
(10) 魚と漁業を守るための知床海域管理計画とは 松田裕之 16:00-16:30
(11) 海域生態系の保護管理に向けた漁業制度の課題 牧野光琢(中央水研)16:30-17:00
5.総合討論 コンビーナー 17:00-17:30

趣旨:2005年7月に開催されたUNESCO世界遺産会議(南アフリカ)において,知床半島およびその周辺海域(距岸3kmまで)が,国内では白神山地,屋久島についで3番目の世界自然遺産地域として登録された。知床は北半球では流氷に覆われる南限域,海洋生態系と陸上生態系の相互作用が顕著,両生態系の絶滅危惧種を含む生物多様性の豊かであること,自然と漁業が共存共栄していることなどが登録理由にあげられている。知床ランドスケープ(自然景観)は,地球温暖化に伴う氷縁生態系の変遷を扱うモデル域としても最適である。世界自然遺産地である当エリアは漁業が盛んであり,漁業の存続を願う漁業者や地域住民の意識が高い場所でもあり,生態系ベースによる順応的管理と持続的水産資源管理技術の確立を目指すことの意義は著しく大きい。そのためには,必要とする多種多様なモニタリングを行って,その結果を資源管理計画などに常にフィードバックさせながら,その説明責任を地域住民との合意形成の中で確立していく必要がある。本シンポジウムでは,それぞれ専門分野の研究者に話題提供していただき,ランドスケープレベルの生態系の保護管理と地域産業の安定・活性化に向けた議論を深め,その方策を探りたい。