海洋環境の時空間的不均一性とマイワシ加入率の関係について

○松田裕之(横浜国大・環情)・勝川木綿(中央水研)・渡邊良朗(東大・海洋研)

【目的】マイワシの加入量及び加入率(加入量Rと産卵親魚量SSBの比)は海洋環境により大きく変動するが、資源管理によりSSBが増えれば、加入量Rも増えると仮定すれば管理効果が期待できる。しかし、同じ年の海洋環境で、SSBを増やしたときの加入量増加への効果は実際には検証できず、必ずしも明らかではない。本講演では、海洋環境の空間的不均一性も考慮した加入率決定モデルを新たに提案し、資源管理効果を検討する。
【方法】海域を空間的にS区域に分け、それぞれの場所に産卵された卵の生残率が独立に変動すると仮定する。各区域の産卵量は一定で、産卵親魚が多ければより多くの区域に産卵すると仮定する。低水準期に卓越年級群が発生する年は、好適な区域が多くかつ偶然そこに産卵された年である。このような仮想的モデルにより資源動態と管理効果を検討した。
【結果】卓越年級群が発生する年にSSBを増やしても、Rはそれほど増えず見掛けの密度効果が生じる。しかし、卓越年級発生年以外でも親魚量が多ければ好適区域に産卵し、卓越年級が発生する可能性がある。そのため、資源管理効果は確率的に評価でき、管理の有効性を示すことができる。