English

グローバルCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」シンポジウム

環境問題における「不都合な真実」

詳細は公式サイトを参照 ポスター(掲示お願いします)

主催:横浜国立大学
共催:国立環境研究所、国際連合大学高等研究所 (交通案内
後援:(独)国際農林水産業研究センター、(独)農業環境技術研究所、(財)地球環境戦略研究機関(予定)、(社)日本水環境学会、(社)環境科学会、エコケミストリー研究会、日本土壌動物学会、環境アセスメント学会、環境経済・政策学会、日本農業経済学会、地理情報システム学会、日本生態学会

日時:2008年12月12日(金)13:00-17:00
場所:国連大学ウタント国際会議場

開催趣旨: 洞爺湖サミットでは、環境問題が最重要政治課題となりました。環境問題の深刻さを科学的に立証するには時間がかかり、社会が対策を立てることはしばしば遅れがちです。それは地球温暖化だけではありません。水産資源の枯渇、バイオ燃料*、外来種など、さまざまな問題にも当てはまります。また、里山のように、過疎化が進むことで自然の多様性が損なわれる問題も広く知られるようになりました。特に人口増加と経済発展途上のアジアでは、さまざまな環境問題がますます深刻化しています。他方、環境問題には不確実性がつきものであり、科学的見解が必ずしも正確に社会に伝わらないことがあります。不確実な将来予測の中で科学者が社会にどう発言し、社会はどのような政策を採るべきなのでしょうか。2010年生物多様性条約名古屋締約国会議の主催国である日本は、これらを踏まえた超長期ビジョンと世界戦略を明確にする必要があります。横浜国大・国立環境研COEは、経済発展と調和した一定のリスクの受容、利害関係者自身の共同管理予防原則の事後検証を既存の世界標準に提案する「アジア視点」にたってこれらの環境問題に取り組んでいます。本シンポジウムでは、こうしたアジアの視点から、環境問題の実態を科学的にわかりやすく説明し、市民が持つべき科学的リテラシーを培う一助として、近未来の環境戦略をともに考えたいと思います。

議事次第                                       司会 藤原一繪(横浜国大)
13:00- 飯田嘉宏 (横浜国大学長) 開会挨拶
13:05- 伊藤公紀 (横浜国大) 気候変動問題のセカンドオピニオン
13:35- 松田裕之 (横浜国大) 日本と世界の水産物利用の未来
14:05- 藤江幸一 (横浜国大) サステイナビリティとアジアのバイオマス利用
14:35- 休憩
14:55- 武内和彦 (国連大学副学長) SATOYAMA論はアジアに展開できるか?
15:25- 五箇公一 (国立環境研) カエルツボカビ症でカエルは滅ぶのか?
15:55- パネル討論「環境問題におけるアジア視点とは」 嘉田良平(座長)、伊藤公紀、松田裕之、藤江幸一(以上横浜国大)、五箇公一、江守正多(以上国立環境研)、武内和彦(国連大学)
16:55- 有馬眞 (横浜国大・環境情報研究院長) 閉会挨拶
17:00- 閉会

横浜国大・国環研合同リスクセミナー(2006.9.8)

用語解説

*1生物多様性条約:生物多様性という概念を用いて、世界の生物の保全とその持続的な利用を促進するための基本的枠組みを提供する条約。1992年のリオデジャネイロにおける地球サミットで採択された。翌1993年発効。この条約では、生物の多様性を「生態系」、「種」、「遺伝子」の3つのレベルで捉え、生物多様性の保全、その構成要素の持続可能な利用、遺伝資源の利用から生ずる利益の公正な配分を目的としている。2010年10月に第10回締約国会議(CoP10)が名古屋で開催される。この2010年は、国連の定めた「国際生物多様性年」であり、2002年のCoP6(オランダ・ハーグ)で採択された「締約国(Conference of the Parties)は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という「2010年目標」の目標年にもあたる。すなわち、日本が議長国となるCoP10は生物多様性条約にとって節目となる重要な会議である。(http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/cop/より) なお、米国は本条約に未加入である。

*2 超長期ビジョン:超長期ビジョンとは、例えば50年間といった長期的視野で事柄・問題を見据えることを指す。被害が出てから対策を行ってきた従来の環境問題に対し、現在の状況のみでなく将来的に起こりうるリスクを的確に予想しながら、計画を立てていくことが求められている。予防原則のように、リスクを根本から避けるという考えとは異なり、未来を的確に予想しながら行動していくべきという考え(http://www.yasuienv.net/LongTermProsp.htm

*3 共同管理(co-management):利害関係者間(例えば、地域の漁業者と行政府)において、管理の意思決定権限と責任を分かち合う制度のこと。その柔軟で自治的な性格や行政費用の低さなどの利点が指摘されている。日本の沿岸漁業はこの共同管理が長年に機能してきた事例として世界的に高く評価されている。一方で、既得権が優先されたり、非効率性を維持させやすいという欠点も指摘されている。(牧野光琢「生態環境リスクマネジメントの基礎」浦野・松田編、オーム社、P155)

*3 予防原則:具体的な環境への影響や人の健康への被害が発生しておらず、また、その原因と思われる行為や物質との因果関係を科学的に証明できない場合でも、予防的に規制していく考え方のこと。予防的措置(Precautionary Approach)ともいう。1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」の第15原則に明記されたのをきっかけとして、さまざまな国際協定や規制のほか、各国の国内法などに取り入れられている。(http://eco.goo.ne.jp/word/issue/S00205_kaisetsu.html

*4 科学的リテラシー:科学的知見を理解する力。自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づく結論を導き出す能力のこと。(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/siryo/05071301/001.pdfに加筆)


COE “Global Eco-risk Management from Asian Viewpoints” Symposium

“Inconvenient Truth in Environmental Issues”

Orgainized by Yokohama National University,
Co-organized by: National Institute of Environmental Studies*, United Nations University (tentative)

Date December 12, 2008 (Friday) 13:30-17:30
Venue: U Thant International Conference Hall, United Nations University  (Getting to UNU

Rationale and Purposes of the Symposium:
The environmental problem was focused at the G8 Hokkaido Toyako Summit 2008. Society is often unable to tackle critical environmental challenges in a timey manner because scientific certainty is usually incomplete for a variety of environmental issues, including climate change, marine resources depletion, bio-fuel production, and invasion of exotic species.

Depopulation also has remarkably altered the structure of traditional landscapes like Satoyama, led to the substantial loss of biodiversity, and triggered ecological risks. A range of environmental problems occurs due to population growth and developmental activities, particularly in developing nations in Asia. Furthermore, society also does not possess accurate scientific information due to uncertainty and unpredictability inherent in environmental problems. The symposium raises questions regarding the messages scientists convey to society and the policy measures society should adopt in response to the environmental challenges, given uncertainty, unpredictability, and ignorance about the future.

Regarding this concern, Japan, as the host country of the Conference of the Parties (CoP 10) to the Convention on Biological Diversity in 2010 at Nagoya, should play a leading role in helping to clarify the Extra-Long-Term Environmental Vision and Global Strategy of Japan. Consistent with this, the COE program at Yokohama National University and National Institute for Environmental Studies attempts to develop and facilitate an ecological risk management framework from an Asian viewpoint. This viewpoint will help address environmental problems involving pressing issues such as risks associated with economic development and ecological resources management, co-management or collaborative arrangements among concerned stakeholders, and development of an internationally accepted standard approach to managing ecological risks in line with the existing precautionary principles and adaptive management approach. Drawing on the Asian viewpoint, the symposium will feature a scientifically clear and credible way of understanding environmental problems, and promote scientific literacy to better inform citizens about the environment, providing a potential basis for a near-future environmental management strategy and stewardship.

Program
13:00- Yoshihiro Iida (President, Yokohama National University) Opening remarks
13:05- Kiminori Itoh (Yokohama National University) Second opinions for the climate change issue
13:35- Hiroyuki Matsuda (Yokohama National University) Future of Japan and World Fisheries
14:05- Kohichi Fujie (Yokohama National University) Sustainable Waste Recycling in Asia (tentative)
14:35- Coffee Break
14:50- Kazuhiko Takeuchi (United Nations University) Is SATOYAMA concept transferable across Asia?
15:20- Koichi Goka (National Institute of Environmental Studies) Will emerging chytridiomycosis really exterminate amphibians?
15:50- Coffee Break
16:05- Panel Discussion “Asian Viewpoints in Environmental Issues” Chair: Ryohei Kada (Yokohama National University)
16:55- Makoto Arima (Dean, Yokohama National University) Closing remarks