日本水産学会理事会・政策委員会合同シンポジウム案

我が国におけるIQ/ITQの可能性

2009年3月31日 東京海洋大学(予定)

企画趣旨(案)
平成20年12月、水産庁が主催する「TAC制度等の検討に係る有識者懇談会」は、ほぼ8カ月、7回にわたる審議を終えて、「TAC制度の課題と改善方向および(譲渡性)個別割当方式についての考え方」をまとめた。この中で、個別割当方式(以下IQ)、譲渡性個別割当方式(以下ITQ)については、すでに実態として我が国においてもIQが一部民間主導で行われているものとしてその有効性を認める一方、我が国における漁業の多様性を考えると、すべての漁業種類を対象に「公的制度として一般的に」導入することには問題が多いとして否定的な見解を示した。しかしながら、その活用は資源管理を図る上で有効に作用する側面もあり、また、漁業経営に安定性をもたらす効果もあることから、漁業者の自主的取組も含め、漁業実態に応じ、個別漁業種類ごとにその活用を検討していくべきであるとした。今後、民間漁業者組織の内部を中心に、IQ、ITQの実施の適否をめぐる検討が活発化していくものと思われるが、現時点においては、民間漁業団体のレベルで、その実施の適否を論ずるに十分な情報や視点は提供されていない。本シンポジウムは、そのような認識にもとづき、IQ、ITQ制度はどのような背景から求められているのか、その実施によってどのような効果がもたらされ、どのような問題が生じるのか、またその実現にはどんな障害があるのかを論じ、個別漁業ごとにその適否を論ずるための、情報と視点を提供しようとするものである。

プログラム案
1.資源管理手法としてのIQ/ITQ 松田裕之
2.日本漁業の効率性 馬奈木俊介
3.IQ/ITQと漁業経営 有路昌彦
4.日本型漁業管理とIQ/ITQ 山川 卓
5.IQ/ITQと貿易政策 八木信行
6.IQ/ITQの実施のための法的根拠 牧野光啄
7.IQ/ITQの管理コスト(もしいれば講演してもらうが、いなければなくても良い。こういう計算は前提条件を変えるといくらでも違う数字が出てくるのであまり意味がないかもしれない。)