第62回生態リスクCOE公開講演会

Coastal Fisheries in Chile and Dedicated Access Privileges: What are They? How and When were They Institutionalized?
チリの沿岸漁業と専有アクセス権について。それらはいつどのように制度化したか

Juan Carlos Castilla教授(チリ・カトリカ大学)

2011年3月1日(火) 15:10-16:30 横浜国立大学環境情報1号棟316室 交通案内* 学内地図

主催 横浜国立大学・国立環境研究所GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント

*横浜駅からいらっしゃる方は、西口バス乗り場10番 横浜国大行き14:48発で終点までいらしてください。そこからは上記学内地図に沿って1号棟(S7-5)までいらしてください。

来聴歓迎します(講演は英語ですが、スライドは日英対訳で準備し、日本語の解説を用意します)

 日本では規制改革の動きにより漁業制度の見直しが進められています。それは欧米の漁業制度を真似ているように見えます。しかし、チリと南米は別の道を歩み始めています。一言で言えば、沖合漁業だけのための制度改革ではなく、沿岸漁業と沿岸海域の生態系サービスの持続可能性を守ることを主眼にすえた改革です。これは、水産総研センターの報告書「我が国における総合的な水産資源・漁業の管理のあり方」における「生態系モザイク」シナリオにも共通するものです。講演者のCastilla教授は海洋生物学者でありながら、漁業制度も含めた学融合の取り組みを展開しました。米国オバマ政権で登用された海洋学者ジェーン・ルブチェンコ博士が進めているPISCOという取り組みは、チリのお酒の名前にちなんだものだそうです。彼はチリ・カトリカ大学の臨海実験所に設けた小さな禁漁区の実験を通じて、海洋保護区が周辺の定着性の水産資源を増やす効果を生態学的に立証し、沿岸漁業のための海洋保護区の取り組みを進めてきました。それはチリ全国に広まり、ついにチリの漁業制度を変え、南部を除いて距岸5マイルを零細漁業の占有水域としました。チリもペルーや日本と同様、沖合漁業によるイワシ類の漁獲量が多かった国ですが、現在では沿岸漁業の漁獲量が増え、沖合漁業のそれを凌ぐようになりました。
 今回は、科学者の彼がどのようにしてチリの漁業制度を変えて行ったか、その秘伝を講演いただきます。規制改革に賛成か反対かという二項対立ではなく、より良い制度をいかに政治的に実現していくことが重要です。専有アクセス権という言葉は耳慣れないかもしれませんが、2009年衆議院調査局資料にも紹介されています。(簡単な紹介スライド(工事中))

 単に漁業のみならず、科学者がどのように自分の研究成果を社会に還元し、環境問題の理想をいかにして政治的に実現して行ったかを知る絶好の機会です。一人でも多くの参加者の来聴を歓迎します!

 なお、2.28には日本大学が主催する、Castilla教授(話はより基礎的内容)、水産総研センター和田時夫部長、神奈川県の石戸谷博範さん、松田が講演するシンポジウムを行います。こちらもふるってご参加ください。

このサイトの問合せ先は 松田裕之 (matsudaynu.ac.jp)