頂いたご意見。ありがとうございました。回答などの[]部分は事後の松田の追加です。今後ともご指導よろしくお願いします。

Q:YNUユネスコチェアが「生物圏保存地域とその生態系サービスから利益を得ている都市部との関係」に着目しているという点を踏まえると、丹沢は県西ではありますが、経済圏としては東京を中心とする首都圏に組み込まれていて、県西地域の経済は都市部に含まれているといえます。それがゆえに、県西地域は西日本のような過疎になることを免れているともいえます。それなりに働く場所があるために、人々が地域から流出する速度を抑えられています。しかし、若年層はどうしても県西から流出しています。つまり、経済的に豊かな地域に近いがゆえに、それなりの状態にとどまっていますが、一方で、都市にたよらずに自分たちの地域独自での対応が必要になる・・・という厳しい状況にもならず、そのため、丹沢や県西の地域独自の循環経済をつくることに難しさもあります。丹沢を念頭においた神奈川県は、国内の他保存地域に比べると、「保存地域と都市部との接続」というよりも、「都市部のなかにある保存地域」という性質があると思います。そのような丹沢・県西のポジションを踏まえた位置づけがあるといいのではないかと思った次第です。
A:先生のご意見はとても貴重と思います。勝手ながら、ぜひMAB/PES研究会にも参加いただければ幸いです。

(1)近隣の他大学との連携可能性について:ユネスコチェアは本学に設置が承認されたものであるが、決して本学のためだけのものではなく、これを契機にリーダーシップを発揮して、様々な機関を結ぶハブとなることが求められるものと理解している。本学が、協定校をはじめとする海外機関とのハブになり、持続可能な形で活動していくためには、まず地元でのしっかりとした国内連携基盤を構築することも必要と考える。丹沢のパーク登録は、我々のユネスコチェアの取り組みにおけるとてもインパクトのあるアウトプットの一つになると思われるが、そのためには、この取り組みでも、自治体の神奈川県だけでなく、県内および近隣地域の他大学をプレイヤーとして呼び込んで、協働することが必要となると考えるが、先生のほうで何か具体的なアイデアなどあればお聞かせいただきたい。※県内(横市大、県立大、神奈川大、東海大、他)や最近協定を 締結したお茶の水、千葉大などとの連携が、この取り組みでも 可能性がありますでしょうか?ということを具体的な例として挙げて、質問させていただきました。
A:[近隣他大学との連携の提案、ありがとうございます。県の関連する委員会等でも近隣他大学の専門家と交流があるなど、つながりを活用して早速取り組もうと思います。]

(2)他の国内ユネスコチェア10校について:本学より先に認証を受けた10校の具体的な活動が一般には知られていないように思われる。これらの大学それぞれの独自の取り組みとして、何か実践的な活動の先行例などありますでしょうか?※一般市民、社会に向けての発信、という観点から伺いました。ぜひ本学のユネスコチェアは、地元自治体などとも連携して、しっかりと市民の目に触れるよう、活動成果をアピールできればと存じます。
A:[世界的に、多くのユネスコチェアはウェブサイトで活動を公開しているようですが、そのサイトを見なければ知られないかもしれません。MAB大学間ネットワークに所属する京大、筑波大、(申請中の金沢大)とは連携できますので、協働で発信力を高める工夫を考えます。ユネスコ内での協働を進めつつ、Post SDGsの提案など普遍的な課題に取り組むことが重要と思います。]

Q1 ユネスコに認証されたエコパークでは、予算は付いていないことが紹介されたが、オープンなものづくりを世界的に展開しているFablabのように、利益をあまり生み出さない方がよいなどの哲学があるのでしょうか?
A1 ユネスコから予算の提供はないが、外部から予算を獲得し、エコパークを推進することは大いに期待されていることである

Q2 自然や天然資源を活用すること、伝統的な技術を保存、発展することに主眼が置かれているように思いましたが、工学で行っているような最先端技術の貢献も期待されているでしょうか?
A2 最先端技術の活用はとても期待されていて、例えば、製品のライフサイクルや資源のリサイクルなどはとても重要な課題の1つである。

Q3 日本の大学では11番目といことですが、本学の取り組みの特賞は何でしょうか?
Q3 MAB、生物圏保存地域に関連した教育プログラムを構築する取り組みがユニークな点です。[ごめんなさい、21年に九大が登録されていました。12番目です。PDFと動画修正済み]


Q1「環境問題では自然の恵みを強調されることが多いが、自然は脅威にもなり得ます。治水事業などのように自然を制御して災害を防ごうとする工学的な方向と、自然保護の方向とはどのように折り合いをつけていくべきでしょうか」
A リスク管理の面から議論をしていくことが重要。[最近、生物多様性条約事務局が生態系サービスという用語をNature's contributions to peopleに変えたのも、恵みも災いももたらすという趣旨でした。]

Q・ 企業では、近年、気候変動をはじめとするSDGsの実現に積極的にかかわるように投資家や社会から求められていますが、特に最近では生物多様性の維持への貢献が求められてきました。ネイチャー・ポジティブとなることが企業に求められる中、例えば、ご検討対象の丹沢水系においても、(富士フィルムなど)多くの企業がその恩恵に授かっています。この水系の維持・保全にユネスコチェアを通じて、企業を巻き込むような動きをしていくことが大事ではないかと思います。特に、企業が地域のサステナビリティを追求する必要性が高まる中で、企業においてこうした分野に長けた人材は不足しております。ユネスコチェアの教育に企業(社会人)は、どのように取り込んでいくことができるとお考えになられておりますでしょうか?
A:企業にとってもこのような取り組みを行うことのメリットが大きいことを理解してもらい、進んで行う誘因が重要であると思います。

Q:蛇足ながら、今回のユネスコチェアの対象がエコパークである点とネットワークの形成を重視する点でとても期待しております。エコパークの環境的・社会的な機能を維持していくには、エコパークから得られる生態系サービスの恩恵を経済主体がどの程度利用し、自己の経済的な便益にどの程度結びつけている(く)か、また、そのサービスや資源をどの程度回復させようとしているかということに関する情報をエコパークにかかわる主体が共有する必要があると思います。そうすることで、各主体はエコノミック(フィナンシャル)・ポジティブを追求するとともに、ネイチャー・ポジティブ(ネガティブの相殺)を実現していく方向に行動していけるのではないかと思います。私の専門は会計学ですが、最近では、特定の主体(企業など)の財務状況を説明するだけではなく、地域の管理(エコパークの効果的・効率的な管理)を対象とした研究も始まりつつあります。まだ萌芽領域ではありますが、お役に立ちそうな研究などがあれば、お伝えしていきたいと思います。
A:[ありがとうございます。ぜひお願いします]

・副専攻プログラムについて:地域が舞台になるPBLは,実施期間が限られていることもあり,演習の域を出ないことが多い。協力地域側はお膳立てに追われて疲労感だけ残り,商品開発などのような,経済や社会に直接還元できるものが残らないことが多い。継続して取り組める工夫や,地域が必要とするテーマで取り組めると良いのではないか。
A:地域側から実弾を受ける研究がいくつか生まれるはず。[教員がそのような行政や企業などから依頼された実践課題に取り組むとき、学生にその一部を担当させることもあれば、大いに鍛えられるでしょう。そのような経験と知識を教員個人に留めず、学内で共有できる仕組みがあるとよいと思います。]

・追加情報:既に繋がりがあるかもしれませんが,地域連携推進機構・客員教授・船場ひさお先生が成長戦略教育研究センターの事業として,南足柄や箱根と連携したPBLを担当されていました。地元企業やNPO,自治体のキーパーソンとの繋がりがありますので,情報交換が必要な場合はお声がけください。
A:船場ひさお先生を紹介いただければ幸いです。