北海道大学地球環境科学研究科

「数理生態学」松田裕之

質問と意見は164-8639 東京都中野区南台1-15-1東京大学海洋研究所 松田裕之までtel.03-5351-6494 fax.03-5351-6492 email:matsuda@ori.u-tokyo.ac.jp

参考書:松田裕之「環境生態学序説」(共立)

レポート課題 最近の生態学の著書を引用しつつ、下記の諸仮説のうちの1つを選び、その歴史的評価について各自の考えを述べよ
1.r、K淘汰説とGrimeの解釈(紹介していない教科書さえある)

2.Landeの量的遺伝モデル 3.性淘汰のHandicap理論 4.Taxon Cycleの理論

5.R.Mayの安定性=多様性の逆理 6.食物網グラフのLink-Species Scaling則


日程

7/16 10:00- No.1 サバを読む(浮魚類の個体数変動機構)

7/16 13:00- No.2 マグロのぶつ切り(持続可能な漁業と非定常最適化)

7/17 10:00- No.3進化生態学の数理模型

7/17 13:00- No.4進化生態学と個体群生態学の統合

7/18 10:00- No.5 絶滅の恐れとは何か(保全生態学)

7/18 13:00- No.6 エゾシカ保護管理計画と生態系管理


No.1 サバを読む(浮魚類の個体数変動機構) 

密度効果の誤った検出方法(時系列解析)

カオスの判定方法(リアプノフ指数)

マイワシとタビネズミの個体数変動様式の相違点

魚種交替の3すくみ説(Heteroclinic cycle=May-Leonard軌道)

反証可能性と実証可能性の違い

浮魚類の個体数変動機構  マイワシの話 top


No.2マグロのぶつ切り(持続可能な漁業と非定常最適化)

乱獲をもたらす二つの理由(経済的割引率、共有の悲劇)

「泳がせ捜査」と未成魚保護の関係、成長乱獲と加入乱獲の違い

漁獲率一定、取残し量一定策の長所と短所(非定常最適化)

サバはいつ、何歳から取るべきか (未定乗数法・繁殖価・収穫価)

ミナミマグロは回復するのか?(age-structured model)

セタシジミ回復計画(size-structured model) 変動環境とTuljapurkarの理論

クジラの改訂管理方式 

持続可能な漁業 1995年京都宣言 世界の漁業の現状 top


No.3 進化生態学の数理模型

最適卵サイズ、異型配偶の進化(進化的安定性と収束安定性)

性淘汰の量的遺伝模型(条件付き戦略と混合戦略)

Taxon cycle(Rummel-RoghgardenとTaper-Case)

手取り一定の定理と息子一定の定理

r,K淘汰と両掛け(bet-hedging)戦略

最適生活史戦略と不定成長(indeterminate growth) (動的計画法)

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No.4進化生態学と個体群生態学の統合

被食回避と採餌努力のトレードオフ Houston-Abrams論争

捕食者が増えると被食者も増える? 弱気な植食者

群集内の間接効果 exploitative competitionとapparent competition

襲い分けによる捕食者の共存 apparent mutualismとexploitative mutualism

食物網グラフ理論 Link-Species比例則、Cohenの区間グラフとSugiharaの穴

群集内の間接効果とその非決定性(Yodzisの理論)

多様性と安定性の逆理

自然選択体験ゲームSPXの破り方(人工生命と遺伝的アルゴリズム

反復囚人のジレンマゲーム(実際にやってもらいます)
  アクセルロッド「つきあい方の科学」松田訳,ミネルヴァ書房

雌雄同体魚の卵の取り引き

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No.5 絶滅の恐れとは何か(保全生態学)

人口学的揺らぎと環境揺らぎ(人口学的MVPと遺伝的MVP)
 偏微分をめぐる3つの逸話(生物拡散、量的遺伝模型、人口揺らぎ)

集団存続可能性解析(Population Viability Analysis)

絶滅危惧生物の判定基準IUCN Red List categories

リスクの科学と予防原理(precautionary principle) 1995リオ宣言

環境庁版植物レッドデータブック 植物Red Data Book 環境庁の頁

参考書 中西準子『環境リスク論』(1996,岩波書店)、ロドリックスJV(1994)「危険は予測できるか!化学物質の毒性とヒューマンリスク」(宮本純之訳、化学同人)、中西準子「環境問題空騒ぎ」(新潮45)

環境基本法 マグロの絶滅確率 top


No.6 エゾシカ保護管理計画と生態系管理

エゾシカの大発生と順応的管理(adaptive management)

道東エゾシカ20万頭説 目視調査による個体数推定法

ヒグマ問題

生態系と生物多様性を守る基本理念=世代間持続可能性

景観=遷移と自然撹乱のつりあいがもたらすモザイク(双六理論)

非定常性(阪神タイガース問題)

明示された目標と評価基準=反証可能性
自然の恵みの3つの価値

エゾシカと順応管理(不確実性、危険性の周知、ヒグマ問題、鷲類の鉛害問題
エゾシカ保護管理計画 北海道庁・道東地区保護管理計画 top