1)一人一日当たり平均栄養摂取量を3000kcal以下に抑えること。
人口爆発と資源危機、及び地球温暖化問題の解決策として、人口増加の抑制と二酸化炭素総排出量の制限が指摘される。各国の二酸化炭素排出量を1990年の水準に下げることが目標とされるが、これは途上国に不利な要求である。そして、もう一つ大切なことがある。私たち先進国の人間は、明らかに食べ過ぎであり、その結果自分の健康を損なっている。そして、農業による食糧増産はすでに限界を超え、農地は痩せ、漁業の乱獲も深刻である。食糧危機を克服するには、一人一日当たり平均栄養消費量を3000kcal以下に抑えることがどの国にも必要である。栄養要求量は各人の身長や生活習慣(運動量)にもよるが、3000kcal以上は必要ではない。これは南北問わず実現すべき数値目標である。
2)低次栄養段階の食物を直接利用する比率を高めること
畜産は、かっては人間が直接消化できない草を家畜に食べさせ、その家畜を人間が食べる効率的な産業だった。今日では肉質を変えるために、穀類を飼料にした畜産業が盛んであり、穀物食から肉食への食生活の変化は食糧危機を促進する。養殖漁業も獲る漁業で得たイワシなどを餌料として高付加価値の魚種を育てているが、餌料とする浮遊生物食の浮魚類を直接人間が食べた方が効率的である。問題は、(1)浮遊生物食浮魚類は自然変動が激しく、一定の漁獲量が望めないこと、(2)保存が難しく、需要を増やすことが難しい。しかし、浮遊生物食浮魚類全体としてはまだまだ持続可能な増産が可能であり、高水準にある魚種を選択的に漁獲し、それを加工し流通させる市場開発を行うべきである。
3)選択的な漁業技術を確立すること
巻き網などの漁法は一挙にたくさんの漁獲量を得ることができるが、乱獲と混獲を招き、持続可能な漁業を行う上では非効率的である。枯渇した魚種や他の混獲される野生生物を保護し、未成魚を保護することが重要である。
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