<入場無料>
共同主催 環境省環境技術開発等推進費プロジェクト (代表者:九州大学・矢原徹一)
「地域生態系の保全・再生に関する合意形成とそれを支えるモニタリング技術の開発」
屋久島環境文化財団
共催:上屋久町、屋久町、上屋久町・屋久町教育委員会、屋久島観光協会
協力 屋久島まるごと保全協会(YOCA)
2006年11月7日 19-21時(18:30開場)、屋久島環境文化村センター
ヤクシカが増加する中で,林床の絶滅危惧植物がどのように変化しているかを報告します。具体的には,30年前に設定された4つのコードラートでの植物相の変化と,全島の植物分布調査結果を地理情報システム(GIS)で分析した結果を紹介します。
30年前に設定された調査区の再調査の結果,照葉樹林でもスギ原生林でも,絶滅危惧種の消失が起きていました。全島の植物分布調査結果をもとに,標高・降水量・日照時間・地形・シカ目撃数などの諸要因と種の分布の関係を分析した結果,絶滅危惧種のシダはシカ目撃数が多い場所に分布しており,ランはシカ目撃数が少ない場所に分布している傾向が見られました。具体的には,ラン科は南部のシカが少ない場所で残っているので,当面は摂食による減少のリスクは低いが,シダ植物は小杉谷・安房林道などシカが多い場所に残っているので,保護柵などの対策を急がないとさらに減少すると予想されます。
2004〜2006年にかけて,安房林道沿いと小杉谷に植生保護柵を設置しました。その柵内外の植
生の変化から,ヤクシカの摂食による影響を考えます。
尾之間から永田まで島を南北にとおる歩道沿いに行った調査にもとづき,屋久島におけるコケ植物の分布についてとりあげます。また,コケのカーテンと言われた多量の懸垂性蘚類,そして熱帯・亜熱帯を象徴する葉上性苔類の数々が,昔とくらべて減ったと言われていますが,これから屋久島のコケ植物相はどのように変化をとげてゆくのでしょうか。これまでの調査から得られた結果に基づいて報告します。
夜間ライトセンサス・過去の統計資料などにもとづいて,ヤクシカがどのように増えているかについて分析を進めています。最新の結果を紹介し,屋久島における個体群管理のあり方を考えます。
◆パネルディスカッション 矢原徹一、立澤史郎、田川日出夫(屋久島環境文化村センター館長・鹿児島大学名誉教授)、常田邦彦(自然環境研究センター研究主幹)、荒田洋一(屋久島まるごと保全協会会長)、牧瀬一郎(屋久島まるごと保全協会副会長)、松田裕之(司会)