「生命の島」に掲載した矢原徹一さん(73号)・市川聡さん(74号=近日発行)の論点を松田なりにまとめたものです(不適切な部分がありましたらご指導ください)。ご意見は松田宛に送っていただくか、松田裕之公開書簡にお寄せください。
(松田裕之屋久島サイト)updated on  
松田(75号=近刊)の表1と自然増加率、初期個体数、駆除頭数などの設定を変えて計算できるExcelファイル

番号 命題 市川 矢原
A 西部林道、一湊林道では最近十年間に鹿が顕著に増えている。ただし、南部および登山道周辺の増加は顕著ではない。
B ヤクスギランドの奥にある天文の森では、1973年に比べて2004年には植生が大きく変わっている。
C 屋久島での鹿捕獲数は1964年の328頭をピークに減り続け、1969年に100頭まで減り、1971年に捕獲禁止になった
D 鹿は30年前には乱獲によって激減しており、その後個体数が回復したために天文の森の植生も変わった
E ヤクシカは基本的には好みの植物から採食していく傾向がある。 嗜好餌種の存続要因 嗜好餌種の絶滅要因
1 ヤクシカの全島個体数(過去との比較) 最高
2 鹿を減らすのに必要な捕獲数は? >>300頭
3 今後、ヤクスギランドや天文の森のヤクシカは増えるだろうか? 釣り合う 増加
3 天文の森の鹿は最近十年間はなぜ顕著な増加が見られなかったのか? 釣り合った 移出した
4 長い屋久島の歴史の中で、なぜ植物は鹿の食害を免れて存続してきたのか? 鹿は増えすぎない(バランス) 林道と伐採跡地が現在ほどではない
5 移動経路としての林道 過去にない移動経路
5 餌供給地としての開かれた林道周辺 餌供給地 餌供給地
6 ヤクシカは個体数を変動させてきた 限定的変動 局所的変動
7 なぜ今までは大発生しなかったか? 釣り合い 移動せず局所的増減
8 江戸時代のヤクスギ大伐採期の狩猟圧 1960年代ほど高くなかった 最近の南部程度の捕獲はあっただろう
9 白谷雲水峡の苔むした景観の成立基盤 ヤクシカなしには維持できない 鹿の大発生は林床植生を乾燥化する
10 狩猟禁止後の鹿の目撃数の増加 鹿が人を恐れなくなり、目撃が容易になった 同意
11 林道周辺での鹿の目撃数の近年の増加 鹿が林内から林道周辺へ移動している 林内の鹿は減らず。林道周辺の鹿が増えている