福島第一原発による健康リスクについて

　更新　大震災情報

見解の要約　2011/5/20 　

• 今回の原発事故による汚染度は、平常時に許容できる汚染度よりはるかに高い。それは、平常の基準が事業者に十分な安全性を担保する責務を課しているからである。
• だからといって、住民の生活を激変させるほど危険かといえば、それは原発からの距離などによる。冷静にリスクを計算し、避けるべきもの、注意すべきこと、許容できるもの、ほとんど無視できるものを見極めるべきである。
• 飲用水、食品、土壌からの被曝量は、今後新たな水素爆発等による大量の放射性物質の放出がない限り、行政及び個人が注意すれば、かなり低い水準に抑えることができる。
• 海水中に汚染水が放出され続けているために、水産物が心配されるが、それは出荷制限が起きたり、広域に拡散するために産地を特定して対策が取れないといった水産業上の問題であり、摂取することによる健康リスクはきわめて低い。
• 最大の問題は原発事故処理作業に終われる作業員だろう。彼らの高いリスクを負った努力により、環境中の放射性物質濃度は低く抑えられている。
• かなり極端な事例を除いて、周辺・近郊住民のリスクは（喫煙常習者と同居する）受動喫煙の健康リスクよりはるかに低い。
• 異説には、一つ一つのリスクをかなり過大評価しているものが少なくない。
• 個人の選択として、数mSv程度の摂取を受け入れることで、福島産の農水産物が利用され、被害者である農漁業者を支援することができる

お勧めサイト

• 日本学術会議会長談話
  http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-21-d11.pdf
• 日本農学会テクニカルリコメンデーション
  http://www.ajass.jp/image/recomfinal.pdf
• 保高徹生博士「農業と経済」原稿
  http://www.t-yasu.net/Main/Welcome.html
• 岡敏弘教授「放射線リスクへの対処を間違えないために」
  http://www.s.fpu.ac.jp/oka/
• 松田裕之：福島第一原発による健康リスクについて
  http://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2011/RadiationRisk.html
• 吉田勝彦博士「水産物の放射能汚染をどうみるか」
  http://www.nougaku.jp/symposium/2011/yosida.pdf