(平成26年度〜平成28年度)
新潟大学 徳島大学 九州大学 横浜国立大学 (株)日立パワーソリューションズ (株)ドーコン
順応的管理について
風力発電鳥衝突リスクについて
関連情報
松田裕之・谷圭一朗, 島田泰夫。2016 オジロワシの生物学的潜在間引き数(PBR)と風力発電環境影響評価.個体群生態学会第32回大会ポスター発表(要旨集)2016年11月3-4日、定山渓[P-11]
(1)事業目的
風力発電に係る環境アセスメントの適正化と迅速化に貢献することを目指し、渡り鳥およびウミワシ類を生物指標として、鳥衝突リスク評価の精度向上を図るための調査・予測・評価手法に関する研究開発を行うとともに、既設の風力発電施設における鳥衝突および風況等の情報を集積し、予測精度を向上させた汎用性のある鳥衝突リスク管理モデルを構築することにより、追加保全措置を含めた順応的管理シナリオを提案することを目的とする。
(2)事業概要
本研究では、はじめに、鳥衝突リスク評価の精度向上を図るための調査・予測・評価手法に関する研究開発を行う。次に、予測精度を向上させた汎用性のある鳥衝突リスク管理モデルを構築することにより、追加保全措置を含めた順応的管理シナリオを提案する。これらを通じて、従来、影響評価が不十分であった鳥衝突において将来予測の精度を向上させ具体的な事後対策を明示することで、環境アセスメントの方法書・準備書・評価書の各段階における審査の迅速化を図るとともに、不十分な評価による調査の出戻りリスクを低減することを目指す。
(3)事業内容
W.鳥衝突リスクの順応的管理モデルの作成と施設運用シナリオの提案
(担当代表:横浜国立大学)
@ 既存の風力発電施設における鳥衝突リスクモデルの作成
鳥類の空間利用パターンから、既存施設の飛翔ポテンシャル数を推定する。この推定値と風車建設後に風車近くを飛翔する鳥の個体数から回避率を算出し、ブレードの形状、回転速度などを考慮して鳥衝突リスクを推定するモデルを作成する。
A 日本の風車建設による鳥の回避率の推定手法の開発
H27年度は、風車建設前後の空間利用パターンの変化を元に回避率を評価し、餌場、渡り経路、営巣地、営巣地−餌場間の回避率の推定手法を作成する。鳥の種類による餌探索行動の差異は、餌場における回避率の違いに繋がると推定されるため、飛翔パターンや高度の違いなども考慮する。
B 鳥衝突リスクと設備利用率に配慮した順応的運用シナリオの提案
衝突率を基に、高リスクの季節や気象条件等を考慮し、風車の一時停止などの軽減措置を行った場合の発電量を試算する。また、軽減措置による発電量の変化が温室効果ガスの削減効果に与える影響をシミュレーションする。さらに、環境影響評価の事後調査によって蓄積されるデータを活用し、具体的な検討サイトに対する鳥衝突リスク低減策を提案する。
横浜国大メンバー
松田裕之
村井基之
佐々木茂樹