2006年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会公開シンポジウム
10月1日11:00〜16:30 広島県立産業技術交流センター(広島県情報プラザ 多目的ホール)(地図)
松田 裕之 (横浜国立大学環境情報研究院)
2005年に日本生態学会生態系管理専門委員会は「自然再生事業指針」(26原則)を公表した(全文はhttp://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2005/EMCreport05j.htmlより参照可能。以下の資料も同様)。同専門委員会では各地の自然再生事業がどの程度この指針に沿っているかを検討中であり、来年には「自然再生ハンドブック」を刊行する予定である。また、横浜国立大学21世紀COE「生物・生態環境リスクマネジメント」では「生態リスクマネジメントの基本手順」を取りまとめて公表した。今後生態系保全の理念や事例研究をまとめて「生態環境リスクマネジメント」を刊行する。本講演では、これらの議論の一部を紹介し、私見を述べる。
@ 事業計画は薄くする。資料は詳しくて良いが、本文は要点を絞って書く。
A 協議会の人数は増やし過ぎない。適切な分野の専門家を招く。
B 科学委員会を組織する。(協議会に招くよりも、別に組織する)
C 全体構想案をパブコメにかける
D 信頼関係を築き、参加者が楽しめる事業にする。
E 関わりの程度に応じて協議会メンバーの役割分担を決める。(≠悪平等)
F 土地問題、既得権益を適切に解決する
G 事業計画を見直す時期と方法を明示する
H 専門家が積極的に協議会を褒める。
I 全体計画において長期目標・抽象的目的(理念)を合意する。
J 事業計画を具体的に記す。実現可能性を吟味する。
K 再生すべき自然が損なわれた要因を示す
L 過去の生物相記録、絶滅した種のリストを作る
逆に、「してはいけない」8つの戒めをレヴィン(2003)に習い、私なりにまとめたので紹介する。@手を広げすぎるな、A一通りだけの未来を描くな、B来年自分が何を言うかの想定を怠るな、C目的や基本計画の合意なしに事業計画をつめるな、D科学委員と利害関係者を混同するな、E二項対立に陥るな、F事実を無視して思想(理念)に走るな、G予算を無視して議論をするな。
具体例は・・・当日会場で少しだけお話しする。
最後に、レヴィン「持続不可能性」(文一総合出版)にある「生物保全のための八つの戒め」を紹介する。@不確実性を減らせ A不測の事態に備えよ B不均一性を維持せよ C土地それぞれの風土を尊べ D無駄なものをすぐに捨てるな E為すことによって学べ F信頼関係を築け Gあなたが望むことを人にも施せ