京都大学大学院農学研究科「生物科学特論III」

松田裕之 質問、意見は 164 東京都中野区南台1-15-1 東京大学海洋研究所 松田裕之まで tel.03-5351-6494 fax.03-5351-6492 email:matsuda@ori.u-tokyo.ac.jp

 

講義内容:


11/8 1030-午前 漁業の乱獲問題、現在価値と共有の悲劇
午後(1) 
エゾシカとクジラのフィードバック管理論
午後(2)
資源評価手法

11/9 午前  

環境影響評価と生態系管理
午後(1)
サバは増えるか?浮魚類の資源変動仮説
午後(2)
子供と大人、どちらを獲るべきか?

★番外編(昼休みなど任意の時間)ビデオ上映(予定)
「たけしの万物創世記」“パラサイト(寄生)”

1999/4/27テレビ朝日系放映 約50分 監修:松田裕之

参考書 松田裕之『環境生態学序説』(共立出版=今年中に出版予定)
桜本和美『漁業管理のABC』(成山堂)

アクセルロッド『つきあい方の科学』(松田裕之訳、ミネルヴァ書房

評価:出席とレポート
レポート課題:本講義の考え方やキーワードは、さまざまな水産資源、野生生物、飼育生物に応用できる。各自身近な生物の例を用いて、講義内容との関係を議論せよ。

★漁業の乱獲問題、現在価値と共有の悲劇
・MSY理論
・割引率と現在価値
・共有の悲劇とゲーム理論

★エゾシカとクジラのフィードバック管理論

エゾシカの大発生と順応的管理(adaptive management)
クジラの改訂管理方式
セタシジミ資源回復計画Tuljapurkarの理論

★資源評価手法
・ドウルーリィ(De Lury)法とCPUE(catch per unit effort)
・コホート解析

道東エゾシカ20万頭説

★環境影響評価と

生態系管理 (鷲谷いづみ・松田裕之1998
環境基本法と持続可能性、世代間公平
・自然の恵みの3つの価値
・生態系管理の基本理念 説明責任、不確実性、非定常性、リスク周知

★サバは増えるか?

資源変動理論
・マイワシの世紀末 乱獲説と自然変動説、齢構成による判定
ミナミマグロは回復するか?ミンククジラは減っているのか? ベビーブーム現象
・非定常資源の持続的利用
1995年京都宣言(水産庁の頁)マイワシの話魚種交替 持続可能な漁業

★子供と大人、どちらを獲るべきか?
・サバのまき網漁業とたもすくい網漁業、繁殖価とSPR(加入当たり産卵量)
・サンマの小型魚投棄問題
・結び:世界の漁獲量はこれから減るか?

★さらに興味のある方への問題:
反証可能性と実証可能性の違いを述べよ
Heteroclinic cycle(May-Leonard軌道)とは何か
マイワシとタビネズミの個体数変動様式の相違点を述べよ
漁獲後資源量一定方策の長所と短所を述べよ
「泳がせ捜査」と未成魚保護の関係を述べよ/成長乱獲と加入乱獲の違いを述べよ
齢組成、体長組成、成長段階組成の違いを述べよ
Leslie行列から個体数増加率はどのように求められるか
環境変動は個体数増加率にどのような影響をもたらすか
エゾシカ保護管理計画の特徴と課題を述べよ
risk(危険度)とは何か、実証科学との比較で述べよ
なぜレッドリストは全個体数でなく、成熟個体数で評価するのか