生態リスクマネジメント理論
Ecological Risk Management
(担当松田裕之

2006年4月14日開講 (1750-環情3-101室)

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日本語で講義を行う

1.授業の目的
環境影響を定量的に評価する環境リスク評価の方法と、そのリスクをどのように取り扱うか(リスクマネジメント)と、それをどのように合意するか(リスクコミュニケーション)の基本的な考え方について、具体的な応用事例をもとに学習する。環境以外のリスクとの比較する方法も学ぶ。詳しい内容、用いる資料はhttp://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/lecture/risk.htmlから閲覧、落手できる。環境問題を解決するためには、リスク評価は必須である。
 Excelファイルをちらから落手すること 

2.各週ごとの授業概要
1. リスクに備える=予防原則
2. サバの未来を読む (持続可能な漁業) 参考書
3. リスクを冒す=水産資源管理とリスク評価
4 リスクに染まる=化学物質の生態リスク評価
5. リスクを避ける=外来魚とバラスト水
6. リスクを払う:マングース防除計画
7. 日本の漁業の共同管理 (7/26 JICA教材)
8. リスクを嫌う=トドの絶滅リスク
9. リスクを凌ぐ=魚の最適漁獲年齢
10. リスクを比べる=風力発電と鳥衝突リスク
11. リスクを御する=エゾシカの保護管理計画
12. リスクを容れる=ヒグマの保護管理計画
13. リスクに学ぶ=生態リスク管理の基本手続き
14. 協力の進化(囚人のジレンマゲーム演習)
15. 試験

3.教科書
教科書  松田裕之「生態リスク学入門」(共立、2008年3月、著者割引を行う)
参考書  松田裕之「環境生態学序説」(共立、2000年、著者割引を行う)

4.履修目標の例示
1 環境問題に遭遇または、報道などで知ったときに、環境リスクは何と対立しているか、トレイドオフの関係は何かについて推定できる
2 講義で与えられたソフトを使って、簡単な環境リスク評価ができる
3 環境リスク管理の事例を学ぶことで、解決のための枠組みを提示できる

5.授業方法についての説明
受講者のメールリストを作り質疑応答を行う。毎週講義内容に関する小レポートを提出。最後にテストを行う(ノート持ち込み可)

6.履修条件および関連科目
 履修条件:なし、「リスク分析論」と講義内容が重複しないようにしている。

7.成績評価の基準
成績は、小レポートの提出状況と期末テストの結果を総合評価する。


1. Aims of lectures
I explain methodology of quantitative ecological risk evaluation for effects of human activity on biological populations and ecosystems. I also explain basic ideas how to control these risks and to build consensus between stakeholders. I refer to many case studies of environmental issues. I try to compare ecological risks with human health risks. Risk assessment is indispensable for solution of environmental issues.

2. Lecture contents during each week (subject to be changed)
1. Precautionary principle
2. Decadal change of pelagic fish stocks
3. fisheries risk management
4. ecological risk evaluation of heavy metals
5. exotic species (1): balast water and largemouse bass
6. exotic species (2): eradication project of mangoose
7. Redlist categories and criteria for endangered species
8. extinction risk of sealions
9. optimal control theory for age-specific fishing effort
10. Risk tradeoff between CO2 emission and birdstrikes in wind farms
11. adaptive management for deer
12. how to coexist bears and human?
13. Basic procedure in environmental risk management
14. The evolution of cooperation (Prisoners dilemma)
15. Examination test

3.Textbook and reference book
Reference book: “Ecological risk science” (by Matsuda, Kyoritsu, Tokyo in Japanese 松田裕之「生態リスク学入門」共立)

4.Illustration of objective at the time of finishing
keywords see http://ecorisk.ynu.ac.jp/matsuda/2008/RiskScienceIndex.html
Examination and discussion of case studies in ecological risk.

5. Lecture methodology
Question and answers every week by emaillist.

6. Registration requirement and related subject
Registration requirement:no
Related subject: no


7.Standard of result evaluation
Questions every week and the final examination test.


内容 教科書 ppt その他の資料
第 1週 ゲーム理論と協力の進化 序説94-100 自然選択体験ゲーム
第2週 リスクと予防原則 ゼロ本205-216 2.16外務省 大竹千代子氏の発表資料用語集使用スライド
第3週 健康リスクと人間の寿命(生命表解析) ゼロ本49-62
第4週 個体群リスク管理とその限界 ゼロ本195-199 許容漁獲量制度エゾシカ保護管理計画と野生生物管理
第5週 絶滅危惧生物の判定基準 ゼロ本189-195、序説29-40 ミナミマグロ問題、PVA(個体群存続可能性解析)、MSY(最大持続収穫量)との関係
第6週 キキョウは絶滅危惧種か 序説41-53 環境庁植物レッドデータブックと絶滅リスク評価
第7週 サバの未来を読む 序説15-28
第8週 変動環境と生態リスク ゼロ本63-66 Tuljapurkar理論
第9週 生態リスク・便益分析 序説167-182 中池見液化天然ガス備蓄基地問題
第10週 環境影響評価法 序説129-144 愛知万博
第11週 ダムは壊すべきか? 演習9,10章
第12週 自然再生事業 日本生態学会委員会「自然再生事業指針
第13週 期末試験


その他参考となるリンク 松田の講義頁 松田の公開書簡主張
【担当教官から一言】 質疑は電子メールで行う。上記ホーム頁http://www.nat-museum.sanda.hyogo.jp/rsc/keitou/spx/dnld-spx.htmlから「自然選択体験ゲーム」を入手して体験しておくこと。