ゼロからわかる生態学
−環境・進化・持続可能性の科学−

Ecology for Beginners --Environment, Evolution and Sustainability --
by Hiroyuki Matsuda, Kyoritsu Shuppan, Tokyo

(共立出版松田裕之 研究プロジェクト 委員

 更新 

Seek simplicity, but distrust it --- Begon Harper & Townsend (1986) "Ecology: Individuals, Populations and Communities"

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問題 追加問題 (よくある)質問
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資料

Keeling曲線 過去40 万年間の南極ボストーク基地での二酸化炭素濃度と気温の偏差

WWF生きている地球リポート2002 生態学的足跡

環境基本法 環境影響評価法 自然再生推進法

生物多様性条約(1992英文 和訳リオ宣言


問題

問0.1 なぜ,高山から深海まで,地球上いたるところに生物がいるのか

問0.2 自然淘汰によって進化したはずの生物が,なぜ個性豊かなのか?逆に,一見無駄なものも含め,多様な生物がいる方が将来役立つとはどういう意味か?そもそも,この問の前半と後半は別のことなのか?

問0.3 人類は自然と「共生」しているのか?

問0.4 生物を真似たバイオマシンには,脳神経系を真似た電子計算機と,細胞の酵素反応を真似たものがある.後者はまだ広く普及していない.それはなぜか.

問0.5 精子と卵子,雌と雄の定義の違いを述べよ.

問1.1 生物の反応にはいくつかの元素や資源が必要である.かりに有り余る資源A と足りない資源B があるとき,A とB どちらを追加したら,その反応速度が顕著に高くなると考えられるか?これをLiebig の何の法則というか?

問1.2 酸素が必要な好気性生物と酸素を使わない嫌気性生物はどちらが先に誕生したか?

問1.3 陸と海の一次生産力はどちらが高いか?生物体量はどちらが多いか?

問1.4 なぜ,金星や火星には生物がなく,地球だけに存在するか

問1.5 大気中の酸素と二酸化炭素の濃度は,生物によってどのように変わったか

問1.6 地球環境はさまざまに変動しているのに,どのようにして生物は生きながらえたか?

問1.7 地球大気の平均CO2 濃度が高いのは,1 年のうちで何月だろうか?

問1.8 レジームシフトが周期的変動でなく,反復的とはどういう意味か?

問1.9 細胞性粘菌の生活史を調べ,図示せよ.

問1.10 同じ動物食でも,陸上哺乳類や魚類ではさらに食性を区別することが多い.どのような区別があるか.

問1.11 陽生植物と陰生植物では葉のつく角度が異なる.葉面に斜めに浅く太陽の光が当たるのはどちらだろうか?

問1.12 収斂進化の別の例を,動物と植物でそれぞれ考えよ.

問1.13 収斂進化と並行進化の違いを説明せよ.

問1.14 生物相の世界地図をウェブサイト上などから検索して図示せよ.

問1.15 植物の生存個体数密度と地上部冠重量の関係を論文やウェブサイトで検索し,3/2則がどの程度成り立っているかを吟味せよ.

問2.1 前章で扱ったように,植物個体同士が光をめぐって争い,一方が死んで他方が資源を独占する場合,この両者の関係は競争だろうか,それとも搾取だろうか

問2.2 アリー効果が生じるのは,どのような場合が考えられるか?

問2.3 競争者の中で1 個体だけが生き残るのを勝ち抜き型(コンテスト型)競争,密度が増えると生き残る個体数が少ないとき以下に減ってしまう共倒れ型(スクランブル型)競争という言い方がある.これらはそれぞれ,過大補償,過小補償,その中間のどれに当たるか?

問2.4 1948 年ころの第1次ベビーブームは戦後女性の出産率が一時的に上がったことで生じた「団塊の世代」である.1970 年代前半の第2次ベビーブームには,すでに少子化の次代になっていた.ではなぜ子供の数が増えたのだろうか.

問2.5 図2.6 のように人口学的慣性力が強くて個体数が波打つのは,どのような場合か?

問2.6 表2.2 の例では,残念ながら合計出生率Σxlx’mx の式(2.20)の右辺は2.93 であり,1にならない.データに誤差があるか,定常生命表の上記の議論に必要な仮定が成り立たないためと考えられる.何が問題か,具体的に考えよ.

問2.7 表2.4 の例で,補足2.3 にある式(2.22),(2.23)および(2.24)により世代時間を求めよ.また,表2.2 を用いて同じように式(2.21)により世代時間を求めよ(表2.2 のlx’は真の安定齢分布ではないので,式(2.21)の分母を忘れないこと).

問2.8 厚生労働省の人口動態統計では,国勢調査のデータを元にして,日本人を5 歳ごとの年齢層にわけ,各年齢層の過去5 年間の死亡率と女性の出産率を調査し,それから生命表を作る.これを簡易生命表という.これは,定常生命表ではないが,コホート生命表でもない.コホート生命表とどんな違いが生じるか?そこから求めた平均寿命には,どんな注意が必要か.

問2.9 体重と体長は両対数グラフで直線とあったが、人間のように体長が止まってから体重が増えることはないか?

問2.10 式(2.6)の環境収容力を変えたとき,図2.12 はどのように変わるか?また,1-εから1+εまでの一様乱数Zt を用いて,過程誤差を考慮したNt = [1 + r(1 -Nt-1 / K)] Nt-1 Zt という式を作り,r = 1.5, ε= 0.5, K= N0=1000 として計算してみよ(Excel ファイルのワークシート「図2.12」の列G および問2.10 と書いたグラフを参照).図2.12 の諸軌道とどのような違いが見られるか.カオスの挙動と過程誤差の挙動はどのように違うか?

問3.1 どの程度ニッチが近ければ共存できないかを,ニッチの類似限界という.たとえば,各種の平均的な顎の大きさの違いにより,利用できる餌の大きさが違うとする.各種が利用するニッチの幅w と,ニッチ間の距離d によって,類似限界を評価できる.1970 年代の理論によれば,種間競争の強さ?12 と?21 は,ある簡単な仮定によって?12=?21=exp(-d2/4w2) と表すことができ,環境収容力の等しい2種が共存する条件はd>w と表すことができる.しかし,現在ではこの理論は省みられず,非現実的な理論の見本のように紹介される.その答えはすでに本書に説明されているのだが,なぜだろうか?

問3.2 図3.5 の架空の1 年草と多年草の系において,多年草の存続条件(3.2)つまりS+8pが1より大きくても,多年草が全体に広がるまで増えるとは限らない.それはなぜか? S+8p が1より小さいときには多年草が絶滅することを確かめよ.また,どの程度p が高いと多年草が全体を席巻するか?

問3.3 実際には,10 倍食べても捕食者の増加率が10 倍には増えないだろうから,数量的反応も上に凸の増加関数になることが多いだろう.たとえば式(3.18)のb を0.9 とおくと, 図3.9 の個体群動態は安定になるか,より不安定になるか.(サイト上のエクセルファイルecology3.xls のワークシート「図6&8」のセルH3 の値を変えて確かめてみよ)

問3.4 スーパーのレジや銀行の現金引出機などで一列に並ばず,窓口ごとに並ぶ店を探し,50 人程度の客の並び始めた時刻と並んだ場所(レジや引出機),手続きを済ませた時刻を記録せよ.これだけの情報があれば,店全体で1 列に並んだときと客一人当たりの平均待ち時間とその標準偏差を計算できる.それらを比較してみよう.(サイトのエクセルファイル「Ecology3.xls」のワークシート「理想自由」を参照)

問3.5 式(3.11)でNA=0 のときに種A の適応度が1 より大きくなる条件を求めよ(これは,種A が絶滅しない条件を与える).逆に,NB=0 のときに種B の適応度が1より大きくなる条件を求めよ.それらが両方同時に成り立つwA とwB の範囲を求めよ.

問4.1 シンプソン多様度とシャノンの多様度はどう使い分けるのか?どういう場合にシャノンの指数を使うのか?なぜ-Σpi log pi なのか?

問4.2 種の多様度を求めるとき、各種の個体数が式に含まれているのですが、厳密に別種であるかわからない場合はどうしているのか

問4.3 大きい島が大陸から2倍遠くにあるとして,図4.1(左)の図を書き直してみよう

問4.4 図4.1(右)のグラフを見て隔離された島における種数と面積の関係に比べて,生息地が外につながっている場所で調査したとき,調査面積と調査区域内の種数の関係はどう違うかを考えよ.

問4.5 熱帯の種多様性が高いのは季節変化が少ないせいだという節もある.この説はどのようにして検証(反証)できるか?

問4.6 補足4.2 で,移入率を(K − S)2(√A)/d2,局所絶滅率をS2 / A と仮定したとき,移入率と局所絶滅率が等しくなる種数S を求めよ.また,図4.1(右)の結果を再現せよ.ただし,この図ではK を100,d を0.1 および1 と仮定している.

問5.1 他に擬態している生物とそのモデルを5 例列挙せよ.

問5.2 イカやタコの「墨吐き」も防御だが,上記のどの範疇に入るだろうか?

問5.3 講義で述べなかった被食回避行動の例を挙げよ

問5.4 美しい孔雀の羽,大きなシカの角,シオマネキの大きなはさみは,性淘汰の例と考えられる.それぞれ同性内淘汰と異性間淘汰のどちらと考えられるか.

問5.5 上記で説明していないが,実効性比という概念がある.これについて説明せよ.

問5.6 子の性比が集団の性比に影響して変わることができるのは、父体または母体が集団の性比を認識した上で、子の性比が決定されることになる。その認識の機構はどうなっているのか?

問5.7 性比は夫婦によって有意に違い,全体の性比は2項分布から有意にずれている.つまり,息子ができやすい夫婦と,娘ができやすい夫婦がいる.さて,社会全体が男子を望み,たとえば(1)男子ができれば次の子を作らない.(2)男子ができるまでか3人まで子供を生み続けるという二つの規則を全夫婦が取ったとき,集団の性比はどちらが多くなるか?

問5.8 多くの動物では雌より雄が美しい.その進化的理由を述べよ.

問5.9 日本人の出生時性比は21:20 と少し男が多い.その進化的理由を考えよ.

問5.10 多くのカタツムリは雌雄同体である.その進化的理由を考えよ.

問5.11 図5.7 の説明を読むと,すべての生物が性転換してもよさそうに思える.しかし,性転換しない生物のほうが多いだろう.雌雄で体重別の配偶成功が異なるのに性転換しない生物がいるのはなぜだろうか?

問5.12 性転換する生物で,体長以外に配偶成功に影響する要素は存在しないのか?

問5.13 アメマスは海に降った時なぜイワナより大きくなるのか?

問5.14 補足5.8 の数理モデルで乱数を引きなおすと,いつも両掛けが数を増やすとは限らない.また,親の生存率を1より小さくすると2回繁殖が不利になる試行例が増える.それぞれの場合で,部分休眠の場合の方が個体数が多くなる頻度はどれくらいか確かめよ.

問5.15 両賭戦略で挙げられた植物における種子の休眠の例だが、環境のよい年だけ種子を発芽させればさらに適応が高いと思われるが、そういう例はあるだろうか?

問5.16 図5.11 の計算機実験の個体数を50,初期遺伝子頻度を0.5,変異率を0 とし,個体数,淘汰値をいろいろ変えて,Ns が1より大きいときと小さいときで,どちらの対立遺伝子が残りやすいか確かめてみよ.

問5.17 これらの場合の最適採餌時間,および消費者が最適採餌時間をとる場合の平衡個体数,その安定性について,各自で考えてみよ.

問6.1 生態学的足跡のウェブサイト†では食生活,通勤手段,住居などのアンケートに答えれば個人(家庭)の負荷がわかるようになっている.英語のサイトだが,自分と同じ生活を全人類がやれば地球2.5 個分の負荷になるなどと答えが出るので,各自試みよ

問6.2 図6.3 で,全生息地数K と初期生息地数x(0)をそれぞれ(K, x(0)) = (15,10)とするとき,潜在生息地を2つ潰すのと,自生地1 つを潰すのでは,どちらが10 年後の絶滅リスクが高くなるか.ただし図6.3 と同じくr = 0.05, D = 0.3 とする.

問6.3 割引率を年5%,魚価を1 トン百万円として,毎年25 トンの漁獲を続けるときの現在価値を無限等比級数の公式から求めよ.簡単のため,物価は一定で魚価も漁獲量にかかわらず一定とする.

問6.4 ミナミミンククジラは約76 万頭いると推定されているが,国際捕鯨委員会科学委員会が合意した持続可能な捕獲頭数は年2000 頭である.問6.3 と同様の仮定の下で,毎年2000 頭ずつとったときの現在価値と,今年76 万頭すべてを獲ったときの現在価値をそれぞれ求めよ.

問6.5「分別ある捕食者」説と「持続可能な漁業」の共通点を述べ,乱獲が起こる理由を論ぜよ.


追加問題

問0.6 動物学と植物学の訳語の不一致が自然に解消されるまでに,「進化生態学の法則に照らせば,長い時間がかかることだろう」と書いているが,それはなぜだろうか?各自考えてみよ.


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数理生態モデル勉強会 横浜国立大学大学院講義 環境リスクマネジメント