2006年度 基盤研究(C)(企画調査)
複合新領域 環境学 環境影響評価・環境政策
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Symthesis and adminisrative case studies of management measures in ecological
risks
研究組織 行政事業事例
研究組織
松田裕之 | 横浜国大・環境情報・教授 | 環境生態学 | 研究取りまとめ |
益永茂樹 | 横浜国大・環境情報・教授 | 環境化学 | |
小池文人 | 横浜国大・環境情報・助教授 | 生態学 | |
加藤峰夫 | 横浜国大・国際社会科学・教授 | 環境法 | |
平松一彦 | 東京大学・海洋研・助教授 | 水産資源学 | |
五箇公一 | 国立環境研究所・研究員 | 保全生態学 | |
鬼頭秀一 | 東京大学・新領域・教授 | 環境倫理学 | |
牧野光琢 | 水産総研セ中央水研・研究員 | 環境経済学 | |
森野真理 | 吉備国際大・政策マネジメント・講師 | 森林管理学 | |
酒井暁子 | 横浜国大・環境情報・客員助教授 | 植物生態学 | |
亀田 豊 | 環境毒性学 | ||
小谷浩示 | 横浜国大・環境情報・JSPS/PD | 環境経済学 | |
石井信夫 | 東京女子大・文理・教授 | 哺乳類生態学 | |
池田啓 | 兵庫県立大自然・環境研・教授 | 保全生物学 |
研究目的 環境政策は不確実性を伴う。したがって、絶対に成功するもしくは絶対安全であるとは言い切れない。そのため、失敗するリスクを定義し、評価し、そのリスクを実行可能な範囲で下げるようなリスク管理を行う必要がある。しかし、生態系及び生物多様性を保全する管理方策において、リスク管理の方法論は確立されていない。これらに対するリスクは生態リスクと呼ばれ、人間の生命や健康に対する健康リスクと区別される。有害物質の環境基準などでは、健康リスクだけでなく、生態リスクも配慮するように改められつつあるが、その方法論は健康リスクにおける評価手法の応用であり、生態学でよく用いられる生態系管理や個体群管理の方法論とは異なるものである。環境影響評価において旧公害系の項目と生物系の項目の評価手法や考え方が互いに異なるように、いまだに統合的な評価手法が確立されていない。
そのため、生態リスク管理が行われている事例のほうが少ないのが現状である。しかし、前出の有害物質の環境基準のほか、外来生物、遺伝子組み換え作物などで生態リスク評価の必要性が指摘されている。水産資源の許容漁獲量制度、鳥獣保護法の特定計画制度などでもリスク管理の手法が導入されて始めており、世界遺産、国立公園、海洋保護区などでも、不確実性を考慮したリスク管理が有効である。海洋保護区の設置については、京都府のズワイガニ漁業において徐々に保護区面積を拡大する順応的管理に相当する方法がすでに実施されている(牧野光琢 未発表、環境経済・政策学会2005年会講演)。知床の世界遺産・国立公園地域でも代表者らが世界遺産科学委員会の中でシカと海域の二つの管理計画において、リスク管理の適用を提案する予定である。
環境影響評価においても、猛禽類への影響、自然災害と生態系保全との関係などは生態リスク管理の枠組みで捉えるべき重要な評価項目である。さらに、水質などの自然系の評価項目においても、人間以外に生態系への影響も評価される。一言で言えば、日本の名水もほかの一級河川も全国一律の重金属濃度基準を適用するような管理理念ではなく、各地の生態系の個性に合わせたオーダーメイドの管理目標を立案することが重要であり、その普遍的手法を開発する。そのためには、社会的な合意形成過程と科学的な生態リスク評価、管理手法の提言の有機的な連関が必要である。
生態リスク管理には、利害関係者の合意形成もまた重要である。この過程を合理的に進めるために、環境経済学者、環境倫理学者が参画して問題点の整理に当たる。彼らの一部は、すでに実際の環境行政に実践的に関与した経験を持つ。
これらの多様な環境行政現場における生態リスク管理の実情を把握し、どのような生態リスク管理が可能かを検討し、適切な手法を開発し、提案していく作業を行うことが、本研究課題の目的である。
9.8 公開セミナー
11.22 東大海洋研研究集会「漁業管理におけるリスク評価と合意形成のための社会経済学的アプローチ」
3/16 横浜国大風発シンポジウム−エネルギー問題から鳥衝突問題まで−
行政事業事例
代表者が昨年行った関連す公開シンポジウム「生態系の保全とリスク評価の理論と実際」るシンポジウムなど
● 科研費企画調査「安全・安心な社会構築を目指す産業災害リスクマネジメント科学の創出と展開」 (関根和喜横浜国大教授)
● 尾瀬・利用適正化関係